Time-series analysis of blood pressure changes after the guideline update in 2019 and the coronavirus disease pandemic in 2020 using Japanese longitudinal data

2022年6月20日

■ 共著者
村上任尚(Takahisa Murakami)¹,²,³
小原拓(Taku Obara)²,⁴
目時弘仁(Hirohito Metoki)¹,²,⁵

1) 東北医科薬科大学医学部衛生学・公衆衛生学教室
2) 東北大学東北メディカル・メガバンク機構予防医学・疫学部門
3) 東北大学大学院歯学研究科加齢歯科学分野
4) 東北大学病院薬剤部
5) 東北血圧管理協会

■ 公開時期
2022/06/20

■ 論文掲載URL
https://www.nature.com/articles/s41440-022-00961-w

■ DOI
https://doi.org/10.1038/s41440-022-00961-w

■ 要旨
【背景・目的】
本研究では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大による緊急事態宣言の血圧への影響を解明するため、日本人における2015~2020年度の血圧推移を明らかにすることを目的とした。
また、時系列解析の際、2019年4月に行われた日本高血圧学会が定める高血圧治療ガイドラインの改訂の影響も併せて検討した。

【方法】
DeSCヘルスケア株式会社が保有する健康保険組合・国民健康保険の健診データから、75歳未満の157,510名(平均年齢: 50.3歳、男性: 67.5%)を抽出し、後ろ向きコホート研究を実施した。
対象者を、降圧治療の有無と性別によって4群に分類し、2015~2020年度の血圧レベルの推移を健診実施月を調整した線形混合モデルで明らかにした。

【結果】
2015~2018年度の収縮期血圧レベルは直線的に上昇していた。その2015~2018年度のトレンドから得られる推定値に比べ、2019年度の収縮期血圧は降圧治療中患者で低下していたが、その低下度は1 mmHg以下であった。
一方、2020年度では、収縮期/拡張期血圧(95%信頼区間)が 未治療女性43,292名では2.11 (1.97–2.24)/1.05 (0.96–1.14) mmHg、未治療男性88,479名では1.60 (1.51–1.70)/1.17 (1.11–1.24) mmHg、治療中女性7,855名では1.92 (1.60–2.23)/0.46 (0.25–0.67) mmHg、そして治療中男性17,884名では1.00 (0.79–1.21)/0.39 (0.25–0.53) mmHg上昇していた。
これらの上昇は、年齢、BMI、飲酒、喫煙、運動習慣、および血液検査項目を時間依存性共変量として調整後も残存していた。

【考察・結論】
社会活動制限により収縮期/拡張期血圧が約1–2/0.5–1 mmHg上昇することが示唆された。
2019年度の高血圧治療ガイドライン改訂で75歳未満高血圧患者における降圧目標値が収縮期/拡張期血圧でそれぞれ10 mmHg下げられたが、本研究では降圧治療中患者の血圧は2019年度に若干しか低下していなかった。