レセプトビッグデータ解析:家族歴が自己免疫性甲状腺疾患発症に与えるリスクの定量化

2022年10月8日

■ 学会名
第81回日本公衆衛生学会総会

■ 発表日
2022/10/8

■ 筆頭演者
森田えみり
奈良県立医科大学 公衆衛生学講座

■ 共同演者
西岡祐一、竹下沙希、明神大也、久保慎一郎、野田龍也、今村知明
1) 奈良県立医科大学 公衆衛生学講座

■ 発表形態
口頭

■ 要旨
【背景】自己免疫性甲状腺疾患では濃厚な家族歴が存在することがあるが、既存研究の家族歴の多くは本人の申告に基づくものであり、情報バイアスの影響を受け定量性が乏しい可能性がある。

【目的】レセプトビッグデータを用いて自己免疫性甲状腺疾患における客観的な家族歴による遺伝因子の関連を定量的に評価する。

【方法】「DeSCデータベース」のうち2016年4月時点の加入者約202万人を対象に、「家族ID」、「親子ID」を元に、バセドウ病と橋本病についてそれぞれ家族歴・配偶者の病歴と発症リスクの関連を調べた。

【結果】性年齢調整後のバセドウ病発症オッズ比は、バセドウ病家族歴があると2.9倍(95%信頼区間[CI] 2.5-3.4)、橋本病家族歴があると1.4倍(95%CI 1.2-1.7)であった。また、橋本のオッズ比は橋本病家族歴があると2.2倍(95%CI 2.0-2.4)、バセドウ病家族歴があると1.4倍(95%CI 1.2-1.7)であった。

【考察】バセドウ病/橋本病の家族歴は双方の発症に強く関連しており、共通の遺伝因子の存在が示唆された。また、配偶者の病歴も双方の発症に関連することからは環境因子の寄与も想定される。