1型糖尿病発症に関わる因子―インフルエンザと1型糖尿病発症のTarget Trial Emulation

2022年10月7日

■ 学会名
第81回日本公衆衛生学会総会

■ 発表日
2022/10/7

■ 筆頭演者
西岡祐一
奈良県立医科大学 公衆衛生学講座

■ 共同演者
森田えみり、竹下沙希、久保慎一郎、明神大也、野田龍也、今村知明
奈良県立医科大学 公衆衛生学講座

■ 発表形態
口頭

■ 受賞
最優秀演題賞 受賞

■ 要旨
1型糖尿病に関する疫学研究では個人の遺伝的背景などの交絡因子の調整が困難であり、1型糖尿病の病因は解明されていない。
本研究の目的は、交絡因子を制御した上でインフルエンザ感染症の1型糖尿病発症への寄与を定量的に明らかにし、疫学研究結果を病因解明に繋げることである。
本研究ではTarget Trial Emulationの考え方を用い年齢、性別のほかデータベースから把握できる家族構成、家族歴を完全一致させることにより比較可能性を高めた研究デザインとした。組み入れ患者123万人のうち17万人が抗インフルエンザ薬をされたことがあった。1型糖尿病は期間中291人に発生し、1型糖尿病発症率は10万人年あたり4.8であった。
インフルエンザの1型糖尿病発症への寄与は患者背景により異なること、特に若年者、罹患後180日以内で寄与が大きいことが示唆された。このことは1型糖尿病の年齢による季節性の違いを明らかにする上で重要な手掛かりとなり得る。今後も最適な研究をデザインし、1型糖尿病の病因解明に繋げたい。