高齢者におけるベンゾジアゼピン系睡眠薬・ガバペンチノイドによるめまい及び浮腫に関する処方カスケードの検討

2022年11月18日

■ 学会名
第27回日本薬剤疫学会学術総会

■ 発表日
2022/11/18

■ 筆頭演者
小俣理奈
慶應義塾大学薬学部医薬品開発規制科学講座

■ 共同演者
原梓、漆原尚巳
慶應義塾大学 薬学部 医薬品開発規制科学講座

■ 発表形態
口頭演題2(演題番号:O2-1)

■ 受賞
優秀演題賞

■ 要旨
【目的】日本の高齢者におけるベンゾジアゼピン系睡眠薬(BZ)・ガバペンチノイド(GBP)による処方カスケード(PC)の発生を検討した。

【方法】株式会社DeSCヘルスケアが保有する診療報酬請求情報データベースを用いた。調査対象は2014年4月~2021年5月に登録された65歳以上の患者のうち、BZ又はGBP開始前後90日間にめまい薬又はループ利尿薬(LD)を開始した患者とした。Prescription Sequence Symmetry Analysisを用い、調整後順序比(ASR)の95%CI下限値が>1の時PC発生とした。

【結果と考察】GBP前後のLD開始患者は2671人(平均年齢82歳、女性57%)であった。ASRは1.69[95%CI 1.56-1.83]となり、PCの発生が示唆された。薬剤性浮腫では安易なLD処方を避け、被疑薬の中止・減量を検討する必要がある。GBP前後のめまい薬開始患者4009人、BZ前後のLD開始患者4334人、BZ前後のめまい薬開始患者5789人ではPCのシグナルが検出されなかった。

【結論】日本の高齢者におけるGBP誘発性浮腫に対してLDを処方するPCの発生が示された。今後、GBP誘発性浮腫に対し、慎重な鑑別診断および被疑薬の中止・減量の検討が必要であろう。