腰椎椎間板ヘルニアに対する早期手術と術後オピオイド系鎮痛薬処方期間との関連

2022年11月13日

■ 学会名
日本臨床疫学会第5回年次学術学会

■ 発表日
2022/11/13

■ 筆頭演者
本田哲
群馬大学整形外科

■ 共同演者
飯塚陽一¹、三枝德栄¹、高澤英嗣¹、石綿翔¹、友松佑介¹、伊藤俊介¹、猪俣和弘¹、岡田啓²、松居宏樹³、康永秀生³、筑田博隆¹
1)群馬大学医学部附属病院整形外科
2)東京大学大学院糖尿病・生活習慣病予防講座
3)東京大学大学院臨床疫学・経済学

■ 発表形態
ポスター

■ 要旨
【目的】腰椎椎間板ヘルニアの手術治療による短期的な有効性は示されているが、手術時期とオピオイド系鎮痛薬の処方期間との関連性を示した報告はない。本研究の目的は、早期手術が術後オピオイド系鎮痛薬の処方期間を短縮させるかを検討することである。

【方法】2015年4月から2020年11月までにDeSCデータベースに登録された18歳以上の腰椎椎間板ヘルニア患者のうち、少なくとも2週間以上経過してから腰椎椎間板摘出術を行なった患者を対象とした。術前にオピオイド系鎮痛薬を処方されていない患者は除外した。主要評価項目は術後オピオイド系鎮痛薬の処方期間とした。診断後90日以内手術(早期手術群)と、90日以降手術(待機手術群)で傾向スコアマッチングを行い、術後3ヶ月時点での鎮痛薬処方割合を比較した。また、多変量Cox比例ハザード分析および3次スプライン曲線を用いて、手術時期における術後オピオイド系鎮痛薬処方終了までの期間を比較検討した。

【結果】1,597例が抽出され、807例(51%)が早期手術群であった。傾向スコアにより465組がマッチされた。早期手術群で、術後3ヶ月時点のオピオイド系鎮痛薬処方割合は有意に低く(28% vs. 48%, percent difference -20%, p < 0.001)、オピオイド処方終了までの期間はハザード比3.13(95%信頼区間 1.97–4.97, p < 0.001)と有意に短かった。3次スプライン曲線の結果からは、ハザード比は単調に減少し、診断後111日目以降の手術で0.50を下回ることがわかった。

【結論】早期手術、とりわけ診断後90日以内の手術は、術後オピオイド系鎮痛薬の処方期間短縮と関連があった。手術後のオピオイド系鎮痛薬の処方期間を考慮した場合、診断後およそ4ヶ月以内に手術を行うことが望ましいことが示唆された。