高齢者における蛋白尿陽性と骨折との関連

2022年11月13日

■ 学会名
日本臨床疫学会第5回年次学術学会

■ 発表日
2022/11/13

■ 共同演者
本田哲¹、康永秀生²
1) 群馬大学整形外科
2) 東京大学臨床疫学・経済学

■ 発表形態
口頭

■ 要旨
【背景】本研究は、母集団代表性の高い大規模データベースを用いて、多変量調整後の蛋白尿の骨折発生における寄与を明らかにすることを目的とした。

【方法】DeSCデータベースを用いて、2014年8月1日から2020年11月30日の期間に健診を受けた血清クレアチニンと尿蛋白検査に欠測がない61歳以上を対象とした。骨折の既往のある人は除外した。骨折発生リスクに関する分析を、死亡を競合リスクとした競合リスク解析を行った。また、尿検査の情報の追加による予測精度上昇を、Net Reclassification Index(NRI)を用いて評価した。

【結果】対象となった487,079人において、平均観察期間は2.02年で、フォロー中に8764人が死亡し20,739人が骨折イベントを起こした。多変量調整後、尿蛋白陽性は骨折のハザード比が1.17(95%信頼区間1.12-1.22)だった。年齢・性別に加え、尿蛋白検査をモデルに入れることでのNRIは0.0538だった。

【結論】尿蛋白陽性は、既知のリスク因子を調整しても、独立した骨折発生リスクを高める因子だった。