SGLT2阻害剤の重要な潜在的リスクに関する評価
2023年2月9日
■ 学会名
第14回日本臨床試験学会学術集会総会in金沢
■ 発表日
2023/02/09
■ 筆頭演者
前川拓也
慶應義塾大学大学院 薬学研究科 医薬品開発規制規制科学講座
■ 共同演者
原梓、漆原尚巳
慶應義塾大学大学院 薬学研究科 医薬品開発規制規制科学講座
■ 発表形態
ポスター
■ 要旨
【目的】DPP4阻害剤 (DPP4i)と比較し、SGLT2阻害剤 (SGLT2i)と重要な潜在的リスクの関連について明らかにした。
【方法】DeSCデータベースを用いた、後ろ向きコホート研究を実施した。調査対象は、SGLT2i、DPP4iのいずれかを初めて単独処方された2型糖尿病患者から、傾向スコアマッチングによりサンプリングした。主要評価として、肝障害、悪性腫瘍、骨折、心血管系疾患、膵炎、腎障害、下肢切断をイベント発生としたときの、DPP4i使用群に対するSGLT2i使用群のハザード比 (HR)とその95%信頼区間 (CI)を算出した。
【結果・考察】全対象患者数は、SGLT2i使用群は3,748名、DPP4i使用群は11,668名であり、マッチング後はそれぞれ3,049名であった。HR (95%CI)は、肝障害 0.94 (0.71-1.25)、悪性腫瘍 1.15 (0.83-1.60)、骨折 0.73 (0.52-1.01)、心血管系疾患 1.01 (0.79-1.31)、膵炎 1.96 (0.83-4.63)、腎障害 0.70 (0.29-1.71)であった。下肢切断は、SGLT2i使用群では0件、DPP4i使用群では1件であり、HRは算出していない。以上より、SGLT2iの使用は重要な潜在的リスクの増加と関連していないことが示唆された。