レセプトビッグデータ解析により明らかになった免疫チェックポイント阻害薬による1型糖尿病の特徴と予後
2023年5月11日
■ 学会名
第66回日本糖尿病学会年次学術集会
■ 発表日
2023/05/11
■ 筆頭演者
紙谷史夏
奈良県立医科大学 糖尿病・内分泌内科学
■ 共同演者
西岡祐一¹,²、森田えみり²、竹下沙希²、小泉実幸²、中島拓紀¹、久保慎一郎²、明神大也²、榑松由佳子¹、岡田定規¹、野田龍也²、今村知明²、高橋裕¹
1) 奈良県立医科大学 糖尿病・内分泌内科学
2) 同 公衆衛生学
■ 発表形態
講演
■ 要旨
【目的】大規模なレセプトデータを用いて、ICI-T1DM(ICI関連1型糖尿病)に関連する長期間の疫学・臨床的特徴・予後を明らかにする。
【対象】2014年4月からの8年間にICIを投与された21,121人。
【結果】ICI-T1DMの発症は102人(4.8%)で、ICI-T1DM発症までは中央値182日であった。1102人中28人(27.4%)はDKAを発症した。全体の4728人(22.4%)が観察期間内に死亡し、16人がICI-T1DM診断後であった。興味深いことに、全生存はICI-T1DM群で非発症群より有意に延長した(P < 0.01)。年齢、性別、既往歴などで調整後も、全生存はICI-T1DM群で非発症群より有意に延長した(P < 0.01)。
【考察と結論】ICI-T1DMの発症率は低いが、重篤な急性合併症のDKAを生じるリスクがある。一方で、ICI-T1DMの発症は早期に適切な診断治療が行われれば、むしろ生命予後は良好な可能性がある。