レセプトビッグデータ解析により明らかになった免疫チェックポイント阻害薬による1型糖尿病の特徴と予後

2023年6月1日

■ 学会名
第96回日本内分泌学会総会

■ 発表日
2023/06/01

■ 筆頭演者
紙谷史夏
奈良県立医科大学 糖尿病・内分泌内科学

■ 共同演者
西岡祐一¹,²、森田えみり²、竹下沙希²、小泉実幸¹、中島拓紀¹、久保慎一郎²、明神大也²、榑松由佳子¹、岡田定規¹、野田龍也²、今村知明²、高橋裕¹
1) 奈良県立医科大学 糖尿病・内分泌内科学
2) 同 公衆衛生学

■ 発表形態
講演

■ 要旨
【目的】大規模なレセプトデータを用いて、ICI-T1DMに関連する長期間の疫学・臨床的特徴・予後を明らかにする。
【対象】2014年4月からの8年間にICIを投与された21,121人。
【結果】ICI-T1DMの発症は102人(4.8%)で、28人(27.4%)はDKAを発症した。ICI-T1DM発症リスクはCTLA-4とPD-1/PD-L1の併用療法、糖尿病既往、甲状腺機能低下症既往で有意に高かった(odds比:各々2.3,1.6,2.6)。全体の4728人(22.4%)が観察期間内に死亡し、16人がICI-T1DM診断後であった。年齢、性別、既往歴などで調整後も、全生存はICI-T1DM群で非発症群より有意に延長した(P < 0.01)。
【考察と結論】今回、大規模なレセプトデータベースを用いたコホート研究において、ICI-T1DMの正確な発症率とリスク因子を明らかにした。日本人においてICI-T1DMの発症は、死亡率が低いことと関連していることが初めて示された。