血圧コントロール不良に対する不十分な高血圧薬物治療による影響: リアルワールドデータに基づく解析
■ 学会名
第59回日本循環器予防学会 学術集会
■ 発表日
2023/06/03
■ 筆頭演者
佐藤倫広¹,²
1) 東北医科薬科大学医学部衛生学・公衆衛生学教室
2) 東北大学東北メディカル・メガバンク機構予防医学・疫学部門
■ 共同演者
室谷智子¹,²,³、村上任尚¹,²、小原拓²,⁴、浅山敬⁵,⁶、大久保孝義⁵,⁶、今井潤⁶、目時弘仁¹,²,⁶
1) 東北医科薬科大学医学部衛生学・公衆衛生学教室
2) 東北大学東北メディカル・メガバンク機構予防医学・疫学部門
3) 宮城厚生協会 泉病院
4) 東北大学病院薬剤部
5) 帝京大学医学部衛生学公衆衛生学講座
6) 一般社団法人東北血圧管理協会
■ 発表形態
口演
■ 受賞名
Young Investigator’s Award最優秀賞受賞(第13回日本循環器病予防学会予防医学賞)
■ 要旨
Clinical inertia(臨床的な惰性)は、血圧コントロール不良の大きな要因とされている。本研究では、リアルワールドデータを用い、不十分な薬物療法が血圧コントロール不良に与える影響を集団寄与危険割合(PAF)で定量的に評価した。DeSCヘルスケア株式会社が提供するデータを用いた後ろ向きコホート研究を実施した。高血圧未治療かつ収縮期/拡張期血圧が140/90 mmHg以上の健診時(治療前)血圧データがあり、次の健診時(治療後)で高血圧治療中の患者27,654人(年齢: 60.7歳、男性: 56.4%)のデータを抽出した。解析にはロバスト・ポアソン回帰モデルを使用した。治療前収縮期/拡張期血圧平均値は157.7/ 94.2 mmHgであり、治療後の血圧コントロール不良の割合は全体では43.0%であった。各種因子調整後、血圧コントロール不良の割合比は、処方降圧薬剤数・用量が少なくなるほど増大した。また、降圧不十分例に対して処方降圧薬剤数を3剤以上へ適切に強化することにより、治療中患者の約4割で血圧コントロール不良が解消される可能性が示唆された。