治療有無別の血圧およびコレステロールと冠動脈疾患リスクとの関連:大規模健診・レセプトデータに基づく解析

2024年5月11日

■ 学会名
第60回日本循環器予防学会 学術集会 (the 60th Annual Meeting of Japanese Society of Cardiovascular Disease Prevention)

■ 発表日
2024/05/11

■ 筆頭演者
佐藤 倫広¹,²,³
1) 東北医科薬科大学医学部 衛生学・公衆衛生学教室
2) 東北医科薬科大学病院薬剤部
3) 東北大学東北メディカル・メガバンク機構 予防医学・疫学部門

■ 共同演者
村上任尚¹,³、橋本英明³,⁴、遠山真弥³,⁵、中山晋吾¹,⁴、小原拓³,⁶、大久保孝義⁷,⁸、目時弘仁¹,³,⁸
1) 東北医科薬科大学病院 腎臓内分泌内科
2) 東北医科薬科大学 衛生学・公衆衛生学
3) 東北大学 東北メディカル・メガバンク機構 予防医学・疫学部門
4) 東北大学大学院歯学研究科 リハビリテーション講座 加齢歯科学分野
5) 自衛隊仙台病院 内科
6) 東北大学大学院医学系研究科 内分泌応用医科学
7) 東北大学病院 薬剤部
8) 一般社団法人 東北血圧管理協会

■ 発表形態
口演 (Oral)

■ 要旨
【目的】降圧薬服薬者では、未服薬患者と比べ、血圧と脳心血管疾患の関連が減弱することが知られている。本研究では、大規模健診・レセプトデータを用い、血圧およびコレステロールと冠動脈疾患との関連を服薬状況で層別解析した。

【方法】DeSCヘルスケア株式会社のデータを用いた後ろ向きコホート研究を実施した。過去に脳心血管疾患・腎障害の既往が無い1,880,933名を解析対象者とした。レセプトデータに基づき、冠動脈疾患発生の指標として、不安定狭心症/急性心筋梗塞を主傷病とした診療行為コードに基づき冠動脈疾患発症を定義した。高血圧治療ガイドライン2019に基づく高血圧6分類、およびLDL-c 20 mg/dL毎での6分類で対象者を分割した。レセプトと健診の問診情報から各治療の有無を定義した。

【結果】平均追跡期間3.1年で冠動脈疾患が4,411例に認められた。冠動脈疾患リスクは、降圧薬非服薬者に比べ、同じ血圧レベルの服薬者で高値であった。一方、LDL-cと冠動脈疾患リスクとの関連は脂質異常症降圧治療薬の服薬の有無によらず一貫していた。

【考察】脂質異常症治療薬服薬有無によってコレステロールと冠動脈疾患リスクと関連は変化しなかった。降圧薬服用中患者では、潜在的な動脈硬化や臓器障害が存在する可能性があり、これらが高い冠動脈疾患リスクと関連していたと考えられる。