慢性腎臓病(尿蛋白陽性)を合併した高血圧に対するARB・ACE阻害薬の使用実態:リアルワールド・データを用いた検討
2024年6月30日
■ 学会名
第67回日本腎臓学会学術総会
■ 発表日
2024/06/30
■ 筆頭演者
多田 和弘¹
1) 福岡大学医学部 腎臓・膠原病内科学
■ 共同演者
冷牟田 浩人¹、渡邉 真穂¹、伊藤 建二¹、安野 哲彦¹、升谷 耕介¹、有馬 久富²
1) 福岡大学医学部 腎臓・膠原病内科学
2) 福岡大学医学部 衛生・公衆衛生学
■ 発表形態
口頭
■ 要旨
尿蛋白を伴うCKD合併高血圧の治療について、ガイドラインでの薬剤選択に関する推奨と治療実態との関係は十分に検討されていないため、ARB・ACE阻害薬が第一選択とされるCKD(蛋白尿陽性)を合併した75歳未満(CKDステージG1-G5)と75歳以上(CKDステージG1-G3)の高血圧患者における最新のARB・ACE阻害薬の使用実態を調査した。本研究は、DeSCデータベースを用いた横断研究である。2020年4月から2021年3月の1年間で、尿蛋白(1+)以上の75歳未満(G1-G5)と75歳以上(G1-G3)でかつ高血圧をもつ34,362名のうち、ARB・ACE阻害薬を処方された者は9,529名(処方率 28%)であった。75歳未満のCKDステージG1-G5の患者(処方率 23%)は、75歳以上のCKDステージG1-G3の患者(処方率41%)と比較し処方率が低かった(p<0.001)。ARB・ACE阻害薬の処方率はどちらの年齢層においてもCKDステージG1の患者が最も低かった。ガイドラインでの推奨にも関わらず、リアルワールドでは尿蛋白を伴うCKD合併高血圧患者に対しARB・ACE阻害薬による治療が実践されていない現状が明らかになった。
