2型糖尿病患者における専門医と非専門医による治療実態に関する検討
■ 学会名
日本薬学会 第145年会
■ 発表日
2025/03/29
■ 筆頭演者
山川彩乃¹
1) 明治薬科大学 薬学部 公衆衛生・疫学研究室
■ 共同演者
奥山美沙¹、吉田真刀¹、植月すず¹、熊澤良祐¹、酒井良子¹、黄章徳¹、赤沢学¹
1) 明治薬科大学 薬学部 公衆衛生・疫学研究室
■ 発表形態
ポスター
■ 要旨
【目的】日本の2型糖尿病(T2DM)新規治療患者を対象に、糖尿病専門医と非専門医による治療実態を明らかにすること。【方法】DeSCヘルスケア株式会社から提供されたレセプトデータ(2014年4月〜2023年8月)を使用し、糖尿病治療薬の処方が1回以上あった患者を対象とした。インスリン処方実績のある施設を起点日に受診した患者を「糖尿病専門医群」、インスリン処方実績のない施設を起点日に受診した患者を「糖尿病非専門医群」とし、各群の処方実態、年次推移、T2DM治療薬が初回処方されてから12ヶ月以上継続して処方されていた割合を「治療継続率」として算出した。【結果】全糖尿病患者数は296,727人であり、糖尿病専門医群は278,059人、非専門医群は18,668人であった。各群の起点日における第一選択薬の処方割合は、主にDPP-4阻害薬(DPP-4i)、配合剤を含む併用療法、SGLT-2阻害薬(SGLT-2i)であった。治療継続率が最も高かったのは、全体および糖尿病専門医群ではSGLT-2i、非専門医群ではDPP-4iであった。【考察】糖尿病専門医群と非専門医群における処方割合および各薬剤クラスの治療継続率には大きな差は見られなかった。両群ともにDPP-4iの処方割合が最も高く、これは先行研究と一致していた。全体の年次推移では、第一選択薬として推奨されているビグアナイド(BG)の処方割合はほぼ横ばいで推移していた。治療継続率においては、両群ともにSGLT-2iおよびDPP-4iが他の薬剤クラスよりも高かった。副作用リスクの低さから、推奨薬であるBGよりもDPP-4iやSGLT-2iが汎用されている可能性が示唆された。
