人工透析患者と健常者・慢性腎臓病患者を比較した抜歯後の局所・全身感染の発症

2023年2月1日

■ 学会名
第33回日本疫学会学術総会

■ 発表日
2023/02/01

■ 筆頭演者
石丸美穂
東京医科歯科大学健康推進歯学分野

■ 共同演者
大野幸子¹、岩上将夫²、宮本佳尚³、三上理沙子⁴、相田潤⁴
1)東京大学イートロス医学講座
2)筑波大学医学医療系
3)国立がん研究センター
4)東京医科歯科大学

■ 発表形態
ポスター

■ 要旨
【背景】腎機能低下により易感染性が高まるが、慢性腎臓病・透析患者における抜歯後感染を検討した研究はほぼない。
【目的】慢性腎臓病・透析患者の抜歯後の感染症の発症頻度を検討する。
【方法】2014年から2021年のDeSCデータベースを利用し、外来で抜歯処置を受けた患者を抽出した。抜歯6ヶ月前の間に血液透析実施(HD群)、抜歯前1年以内の健康診断のeGFRを用いて、腎機能をステージG1-G2(正常〜軽度)、ステージG3(中等度)、ステージG4-5(重度)の3区分で曝露を定義した。主要アウトカムは抜歯後30日以内の抜歯後感染、副次アウトカムは肺炎、敗血症、感染性心内膜炎の発症である。調整変数として、年齢、性別、Charlson comorbidity index(CCI)、抜歯本数、難抜歯、予防的抗菌薬の投与、ステロイド、免疫抑制剤の使用とした。一般化推定方程式(GEE)を用いて、同じ人が複数回抜歯されている効果を調整し、アウトカム発症に対するHDの調整オッズ比(aOR)を算出した。
【結果】対象数は76,203処置(61,837人)であり、HD群(n=8,827)、G1-G2(n=41,498), G3(n=24,636)、G4-G5(n=1,242)であった。HD群は、予防的抗菌薬投与がされていなかった(p<0.001)。抜歯後感染はG1-G2群1.1%, G3群1.0%, G4-G5群1.5%, HD群2.7%で発症していた。GEE解析の結果、G1-G2群と比較し, G3群(aOR:0.88, 95%CI:0.74-1.04), G4-G5群(1.23, 0.77-1.97), HD群で(1.99,1.65-2.41)とHD群で発症が多かった。肺炎(1.98, 1.59-2.47)、敗血症(4.46, 2.89-6.89)も同様の結果だった。 【考察】HD患者は抜歯後局所感染・全身感染の発症頻度が高かった。また、HD患者の方が予防的抗菌薬が投与されていなかった。HD患者の抜歯前に適切な抗菌薬が投与されていない可能性があり、今後の検討が必要である。